私たちの発達支援
① マオポポの想い
「マオポポ」――ありのままを、深く理解すること。
「マオポポ」はハワイ語で「ありのまま」、そして「深く理解する」を意味します。
私たちは、お子さん本来の姿を受け止めてその個性を深く理解し、まずは必要な環境を整えることから始めます。
自分のありのままを認められ、まわりの世界をはっきりと理解できたとき、こどもたちは自らを信じて成長を始めます。
「分かった!」「できた!」と感じられる瞬間を、一つずつ増やしていきたい。 お子さんとご家族の歩みを、共に支えていきたいと願っています。


②大切にしている支援
マオポポでは、お子さんの「ありのまま」を深く理解し、科学的根拠に基づいた2つのアプローチを軸に支援を行っています。

| 支援の柱 | 目的とアプローチ | 期待できること |
| TEACCHと視覚支援(PECS) | 見てわかる環境(構造化)を整え、絵カード等で「伝えたい」気持ちを形にします。 | 「次に何をすればいいか」がわかり、自発的なコミュニケーションと自立の力が育ちます。 |
| 感覚統合遊び | 7つの感覚(特に前庭覚・固有覚)を使い、脳と体の連携を遊びの中で整えます。 | 体の使い方がスムーズになり、情緒が安定し、「自分でできた!」という自信に繋がります。 |
■ 「わかる」と「伝わる」を育む「TEACCHプログラム」
耳で聞く情報よりも目で見て学ぶ「視覚的な情報」をキャッチするのが得意なお子さんがいます。言葉による指示だけでは状況が掴めず混乱してしまう場合でも、情報を視覚的に整理して伝えることで、格段に理解しやすくなります。
また「周囲の状況がわかる」という安心感を土台に、マオポポではお子さん自身が要求や意思を発信する「表出コミュニケーション」を特に大切に考えています。 「まだ言葉を話せないお子さんが、『伝えたい』という気持ちを形にできるサポートをもっと身近にしたい」——それは私たちがマオポポを開所した原動力の一つでもあります。
そこで私たちは、以下のようなエビデンス(科学的根拠)に基づく支援を行っています。
・構造化(見てわかる環境づくり)による「理解の支援」
空間を意味のあるエリアに区切る「物理的整理統合」や、「いつ・どこで・何をするか」を明確にする「スケジュール」、見通しを持たせる「ワークシステム」を導入しています。環境を整えることで、お子さんが「今どうすればいいか」をはっきりと理解し、一人でも迷わず、安心して行動できる力を養います。
・PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)による「表出の支援」
PECSは、年齢相応の意味のある言葉(有意語)がまだ見られないお子さんを対象に導入しています。絵カードを使って「これが欲しい」「こうしたい」という意思を自分から相手に伝える練習を重ねることで、コミュニケーションへの意欲と自信を育みます。PECSのフェーズを段階的に進めていくことで有意語の発語へとつながるケースを、私たちはこれまで数多く見てきました。
「わかった」という安心感と、「伝わった」という喜び。この二つが「自分を信じる力」を育み、自立への確かな一歩となります。
■ 「できた!」の喜びから自信を育む「感覚統合遊び」
落ち着きがない、よく転ぶ、特定の感覚を極端に嫌がる、力の加減が苦手…。お子さんの日常の「困り感」は、決して本人の努力不足や育て方の問題ではなく、お子さんの「個性」と周囲の「環境」のミスマッチから生じています。
私たちは普段、無意識のうちにさまざまな感覚を脳で整理し、状況に合わせて体を動かしています。マオポポでは、視覚・聴覚・触覚などに加え、自分の体の傾きやスピードを感じる「前庭覚(平衡感覚)」、手足の曲げ伸ばしや力の入れ具合を感じる「固有受容覚」といった“見えない感覚”を、こどもたちがうまく使える形へと整理していく「感覚統合」のアプローチを取り入れています。
・主体的・能動的に「感覚欲求(ニーズ)」を満たす日々のアプローチ
高いところに登ったり、跳び跳ねたり、狭い場所に入り込んだりする行動は、脳の覚醒レベルを自分なりに整えようとするお子さんの大切なサイン。マオポポではその行動を頭ごなしに「ダメ」と制限するのでなく、「なぜその感覚を求めているのか(ありのまま)」を深く理解し、安全で適切な遊びに変換して存分に提供します。
さまざまな感触に触れる「素材感触遊び」や、児童発達支援における公園での「外遊び」など、こどもたちが主体的に自身の感覚ニーズを満たせるように心がけています。感覚の欲求がしっかりと満たされると心と体はリラックスし、情緒が安定していきます。
・「やってみたい」を原動力にした成功体験の積み重ね
感覚統合遊びの最大の条件は、こども自身が「自分でやってみたい」と思えることです。マオポポでは、姿勢を保つバランス感覚や手先の器用さといった身体的な発達を促す際にも、少しの工夫でお子さんが「自分でできた」と感じられることを重視しています。
「やってみたい」という自発的な意欲から始まり、「できた!」という達成感で終わる遊びのサイクル。この経験の積み重ねが、日々の生活をその子らしく、笑顔で楽しむための前向きなエネルギーへと繋がっていきます。
③わかる工夫
マオポポでは、こどもたちが「自分から動ける」「次に何をすればいいかパッと見てわかる」環境づくりをしています。一人ひとりの興味や理解のペースに合わせて、写真やマークを使ったカードをスタッフが手作り。室内はもちろん、外遊びの時間も含めて、こどもたちの「わかった」「伝わった」を引き出すマオポポでの工夫をご紹介します。

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マオポポの視覚支援の具体例
・言葉があってもなくても迷わない「スケジュール」
多くのこどもたちが個別のスケジュールボードを持っています。お子さんの特性や理解に合わせて、スケジュールカードを次の活動場所の「受け箱」にマッチングさせることで、視覚的に移動を促す場合もあります。「次は何をする? どこへ行く?」が自分でわかる安心感が、自発的な行動を生み出します。
・「いつまで」「何をするのか」がわかる環境
活動の区切りが見てわかる「タイムタイマー」は、今やこどもたちだけでなくスタッフにも不可欠です。見通しが持てず待つことが苦手というお子さんには「順番ボード」を用意したり、待つ場所がわかりやすいようにトイレ前に座って待てる「イス」を置いたりすることもあります。自分で選んで「できた!」で終われる「棚おもちゃ」の時間をつくるなど、安心して過ごせる工夫を空間全体に散りばめています。
・「てつだって」「これがほしい」を表出できるグッズ
まだ発語がないお子さんでも、おやつの時間は大好きなものを「自分で選ぶ」という大切なコミュニケーションの機会です。また、着替えや食事の場面では、困ったときにすぐ使える「てつだって」のカードを配置。「困った」をパニックで表現するのではなく、周囲に助けを求める力を育むことも、大切な自立への一歩です。
・お出かけ先でも「わかる・伝わる」をサポート
公園で「ブランコを押してほしい」といった要求を大人の手を取りクレーンで伝えるお子さんには、屋外用のコミュニケーションボードを持参することでより伝えやすい工夫を。また電車等に乗ってお出かけする「フィールドワーク」の際にも、専用の手順書を手作りしています。初めての場所やイレギュラーな活動でも、視覚的な見通しがあることで、こどもたちが安心して参加することができます。
・その子に合わせた「手作りのツール」
「どうすればこの子にもっと伝わるだろう?」。私たちは常にその視点を持ち、必要になったカードや日々の手順書は、スタッフが画像を撮影したり検索したりしながら、その都度手作りしています。決まった形を押し付けるのではなく、お子さん一人ひとりの「わかりやすさ」に寄り添います。
④ 活動のようす
マオポポでの1日は、こどもたちの「やってみたい」という意欲から始まります。
それぞれのペースで活動に向き合い、小さな「できた!」を積み重ねる。専門的な支援と見守りの中で生まれる、こどもたちの日常のひとコマをご紹介します。

トランポリンや公園での外遊びなど、全身を使った感覚統合遊び。思い切り体を動かして感覚の欲求を満たすことが、心と体をリラックスさせます。

視覚的な工夫が施された環境で、自立課題や「棚おもちゃ」にじっくり向き合う時間。「始まりと終わり」がわかるからこそ、一人でも高い集中力を発揮します。

さまざまな素材に触れたり、光と色の不思議を味わったり。好奇心の赴くままに五感をフルに使うことで、こどもたちの豊かな感覚と表現力をのびのびと育みます。

お名前ボードを使ったあつまりや、絵カードでおやつを選ぶ場面。日々の生活の中にある「気持ちが伝わった!」という実感が、こどもたちの自信に繋がります。

電車に乗ってのお出かけや、水族館への遠足。手作りの手順書(しおり)があるからこそ、初めての場所のワクワクも、安心感とともにめいっぱい楽しめます。

ハロウィンの仮装やクリスマス、お月見だんご作りなど。四季折々の行事や文化に触れ、みんなで味わう経験が、豊かな心と楽しい思い出を育みます。
⑤専門職との連携
目の前のお子さんをより深く理解し、その子に合った最適な環境を整えるために。
マオポポでは、外部の専門機関(臨床心理士・作業療法士)と継続的な連携を行っています。スタッフの経験則だけに頼るのではなく、医学・心理・感覚統合の多角的な視点を常に取り入れ、支援の質を高め続けています。

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■ 臨床心理士によるコンサルテーション
ASD支援の第一人者であり、TEACCHプログラム研究会会長の内山登紀夫医師が院長を務める「よこはま発達クリニック」の関連施設、「よこはま発達相談室」と連携しています。隔月で臨床心理士さんに施設での様子を見学いただき、スタッフミーティングにもご参加いただいています。TEACCHプログラムの考え方をベースに、現場での課題や難しいケースについてのアドバイスを直接受けることで、スタッフ全員の支援の方向性をブレなく揃え、一貫したサポートを提供しています。
■ 作業療法士によるケースカンファレンス
身体機能や感覚に課題を持つお子さんのサポートを深めるため、「育児・発達支援室ここん」の作業療法士さんをお招きし、年9回程度のケースカンファレンスを実施しています。「なぜこの行動が起きているのか?」を行動の背景から紐解き、具体的な支援方針を定めます。スタッフが自主的に参加し、感覚統合の視点からの「見立て」を学ぶ実践的な研修の場にもなっています。
⑥パパママカフェ
「夜なかなか眠れない」「食事の時間が戦い」「お箸の練習が進まない」…。一人で抱え込みがちな日々の「困った」を、少しずつ「安心」に変えていきませんか?
「パパママカフェ」は、ただ集まってお話しするだけの場所ではありません。NPO法人 kindness for all の武居光先生や各分野のプロフェッショナルに相談して、具体的な工夫を学ぶことのできる場です。同じ悩みを持つ保護者同士、お茶を飲みながらリラックスして交流しましょう。毎月1回土曜日に開催しています。

アドバイザー:武居光さん(特定非営利活動法人kindness for all)
療育機関のPT、OT、ST、心理、保育士、ソーシャルワーカーで作る療育NPO「kindness for all」代表。多くの発達支援現場や保護者支援に携わってきた、こどもの特性理解と具体的な工夫のスペシャリストです。「パパママカフェ」では、武居先生をはじめ各分野のプロフェッショナルが皆さんの悩みに寄り添い、今日から家庭で試せるヒントを一緒に考えます。

2026年度 年間スケジュール
- 5月16日:【睡眠】「ぐっすり眠って、家族のゆとりを取り戻す」
〜脳と体の休息を守るための、環境づくりと入眠ルーティン〜 - 6月20日:【幼稚園・保育園】「集団生活の『困った』を『チャンス』に」
〜園とのスムーズな連携と、本人が楽しく過ごすための伝え方〜 - 7月25日:【夏のお出かけと感覚】「ワクワクをパニックにしない工夫」
〜人混み・音・暑さ対策を知って、家族で楽しむ夏休み〜 - 8月22日:【家での過ごし方】「YouTubeやゲームと、上手に付き合う」
〜「ダメ」の代わりに提案する、メディアとの約束と切り替えのコツ〜 - 9月19日:【言語・言葉の遅れ】「伝えたい気持ちを、形にするサポート」
〜滑舌・吃音・言葉の遅れに寄り添い、やり取りを楽しむ力を育てる〜 - 10月17日:【見え方・聞こえ方】「わが子の感じている世界をのぞいてみよう」
〜視覚・聴覚の特性を知ることで見えてくる、本当のサポート〜 - 11月21日:【癇癪(かんしゃく)】「爆発の理由と、心の整え方」
〜「どうして?」を理解し、親子でパニックの波を乗り越える〜 - 12月19日:【身体機能・不器用さ】「お箸デビューを応援する身体づくり」
〜転びにくい体幹と指先の細かな動きを育てる〜 - 1月23日:【就学】「新しい一歩を、自信を持って踏み出す」
〜進路選択のポイントと、学校生活に向けた心の準備〜 - 2月20日:【食事の悩み】「食のこだわりと、上手に向き合うヒント」
〜感覚の特性理解と、親子で疲れない食事の進め方〜 - 3月20日:【サポートブック】「想いをつなぐ、わが子のトリセツ作り」
〜新しい環境へ「強み」を届ける、ポジティブな引き継ぎ資料の書き方〜
【開催概要】
対象: マオポポご利用中の保護者さま
時間: 15:30〜17:00
場所: こども発達支援ルームマオポポ(川崎市高津区千年新町7-4)
参加費: 無料(要予約)
お申し込みはこちらのフォームよりお願いします。
利用対象 <どんな子が利用できるの?>
●からだの発育について
発達がゆっくり、歩きはじめが遅い、動きがぎこちない、よく転んだり体をぶつけたりする、姿勢が崩れやすい、手先が不器用、食べられないものが多い、感覚に過敏や鈍麻がある、など
●コミュニケーションについて
ことばが遅い、一方的に話すなど会話がかみ合わない、友達とあまり遊ばない・トラブルが多い、話を聞いていない、表情が乏しい、視線が合いにくい、指さししない、まねをしない、など
●しぐさ・動作・行動について
抱っこを嫌がる、落ち着きがない、こだわりがある、すぐにかんしゃくを起こす、物の扱いが乱暴、行動が遅い、初めての場面や変化に弱い、気になるくせがある、など

支援の流れ
「PDCAサイクル」に基づき、子ども一人ひとりの発達に合わせた個別支援計画を立てていきます。

●アセスメント(Action)
認知特性や行動を把握・分析し、支援内容を検討
↓
●個別支援計画の作成(Plan)
保護者の想いを伺い、個別支援計画を作成
↓
●サービス提供(Do)
計画に沿ってプログラムを実施
↓
●モニタリング(Check)
目標に対する到達の度合いや支援内容を点検
↓
●アセスメント(Action)
目標設定を見直し、支援内容を検討
↓
…
一日の流れ(平日)
9:20~ 登園・おしたく・自由あそび・PECS
10:10~ あつまり(手あそび・呼名・うた・絵本など)
10:30~ 外あそび/サーキット 造形あそび など
11:30~ お弁当・歯みがき
12:00~ 自由あそび・着替えの活動
12:30~ テーマ活動(からだあそび・音楽あそび・制作など)・自由あそび
13:10~ 個別活動(マオポポタイム・ワーク・自立課題など)・自由あそび
14:20~ おしたく・降園
利用時間
| 曜日 | 時間 |
|---|---|
| 平日 | 9:30~14:30(集団) |
| 土曜日 | <年中クラス> 9:30~11:15 <年長クラス> 13:00~14:30 |
費用
| 利用者年齢 | 利用者負担額 |
|---|---|
| 3~5歳児 | 幼児教育無償化のため無料 |
| 2歳児以下 | 1回あたり1,200円~1,400円程度 |
| 前年度世帯所得により月額負担上限額が決まっています。 生活保護受給世帯・市民税非課税世帯は0円、世帯所得約890万円以下は月額4,600円、上記以外は月額37,200円 | |









